西釣会VSさる
平成15年2月
A君とB君はホームグランドの中泊に釣行しました。
横島の源氏に成長会メンバーの底物師と磯上がりしました。連日の青物ラッシュの中、周りはほとんどカゴ釣師です。となりのインキョもカゴ釣師が5人も上がっています。
釣りを始めるとものすごい状況にA君とB君は愕然とします。一緒に上がった底物師は巨大なオモリを「ドボン!ドボン!」と至る所に投げ込み、赤貝を「カン!カン!カン!」と磯上にでわり続け、インキョのオジーちゃんカゴ釣師は、オジーちゃんなのでカゴを遠投できず、彼らの沖わずか25m位の所を流れ、A君はまた、ウ○コをしようとするありさまです。
「青物は異常にあたっているが、グレはいまいち」という船頭の言葉通り、グレらしきあたりはありません。
そこへ弁当船。「ナガハエの岡があいとるで〜」ポーターのおにーちゃんの言葉に「行くー!!イクー」と、魚に触れない底物師を置き去りにし、磯替わり。ナガハエの岡に行ってみると、わずかの差で他船の客が上がっています。「ウラー!!こだま!コラー!」と二人は毒づき、しょうがないので涙ぐみながら鹿島の南側に向かいます。しかし、地蔵も釣師が上がっています。しょうがないので、ヌケウドへ。
エサをまくと小さいながらもグレらしき魚がチラチラ見え、周りは誰もおらず、とても静かで先程までの戦場のような状況に比べるとまさに天国です!極楽浄土です。桃源郷でしゅ!但し、あのお方が現れるまでは……。
磯上がりし、B君はすぐに竿を出します。A君はのんびりと竿ごと仕掛けをチェンジしていました。するとB君が竿を曲げます。
B君「これはこまいわー!あんまり引かん〜」あたりまえです。カワハギ。
そんな様子を笑いながら見ていたA君も仕掛け作りを急ぎます。しばらくしてB君が自分のリュックサックを置いていた所にきてなにやらゴソゴソとやっています。A君がふと顔を向けると、そこにはB君ではなく
「さる」が居ました。しかもデカイ!その距離約3m。A君は一瞬何が起こったのか分からず、もしかしてB君が過去に悪い事をして神様にさるにされたのか、自分からさるになったのか、もしくはさるが何処からかやって来たのか判断が付きません!気を取り直したA君が海の方を見てみるとそこにはB君がつぶらな瞳で釣りをしています。A君は理解しました。目の前のこいつは「さる」じゃー!!
さるはゆうゆうと、まるであたかも自分の荷物のようにB君のリュックサックのファスナーを開け、中からウキなどが入ったビニール袋を取り出しています。
A君「コラー!!おまえ!ウリャー!!」大声を上げます!
その声にB君が後ろを振り返り、
竿ではなく目を満月にしています。
さるはゆっくりと、全然動じず、平常心で10mほど移動し、すかさずビニール袋を破り、中を確かめています。が、しかし、中身は釣道具、食べ物ではありません。憎たらしいことにさるは食べ物でないと分かるとポイッとビニール袋を投げ捨て、はなくそをほじっています。
その一部始終を見ていたA君はブチ切れ、さるの方に向かって行きます。しかし、
さるもブチ切れ歯をむき出しA君を威嚇します。今にも飛びかからんばかりです!
A君「う……。こ、こわい。な、なんかこわい……。」思わぬさるの反撃にA君は立ち止まります。その隙にさるはゆっくりと釣り場後方の岩の上に上がって行き、腰を下ろしてしらんぷりをしています。
A君「いや〜!犬や猫と違ってさるはなんかこわい!何してくるか分からんもー!」
B君「今度きたら、おれが退治しちゃお!」
全ての荷物をB君の直ぐ後ろに集め、二人は再び釣りを再開。
10分後、A君がふとB君の方を振り返ると、なんと!さるが音も立てずに忍び寄り、A君の集魚材を抱えている真っ最中です。これにはA君激怒し、玉の柄を振り上げ威嚇しますが、再びさるに威嚇され、敗北。さるは岩の上に上がってボリボリと集魚材を食べています。その姿があまりにも憎たらしかったため、B君も激怒し、玉網を片手に、
B君「ヨシ!おれが退治しちゃらー!!見よれよ!!」勇ましくさるに向かっていきます!
さる「フー!フー!」歯をむき出し戦闘態勢です。B君、思わず後ずさり。さるに退治されてしまいました。
B君「ほんまにこわいー!おい、A君、一緒に来てくれ!二人やったらさるの方がこわがるろー! 」
A君「よっしゃ!!」
二人は玉網を片手にさるに近づき、振り上げます!!
が、しかし、さるは恐れることなく、彼らを威嚇し、退け、はなくそをほじっています。
なんという憎たらしさでしょう!ふと顔を鹿島の遙か上方に向けると、そこには
約20匹程のさるの群れがその様子を見ています。どうやら、
この目の前のさるはボス猿のようです。
二人はさる退治をあきらめ、釣りを再開しますが、後ろが気になり、海の方を見たり、後ろを振り返ったり、忙しい釣りを強いられます。上の方にいる猿達も石を落とし、彼らをいじめます。なんという奴等でしょう!!
その後、ぽつぽつとグレを釣り上げ、二人は迎えの船に乗りました。
この日、我々西釣会はさるに完全敗北を喫したのであった!!
その後、我々西釣会は鹿島のさるに付いての情報を収集を行いました。
証言1「鹿島の地蔵で約15匹の猿に取り囲まれました。もの凄く怖く、何も出来ずにいると、丁度、渡船(つばめ)が通りかかった為、大きく手を振って呼び、長い棒で追い払ってもらった。あの恐怖は半端じゃないです!」愛媛県の釣師 談
証言2「カブト(鹿島から3m位離れた磯)の沖を船で通りかかると、人が泳いでいまし
た。近づき助け上げると。なんと、猿が3m海を飛び越え、カブトにいる釣師にドロップ
キックをくらわし、落水させたもよう。」中泊、渡船の船頭 談(これ本当に実話!)
証言3「クーラーを当然のように開け、魚や、予備のオキアミを持って行く!友人はリールの入った小さいバックを盗まれたことがあります。」愛媛県の釣師 談
証言4「釣りの時の話ではありませんが……。柏島のサル公園での事。彼女とサル公園に行きました。エサを手に持つとサルが大勢やって来て、エサを受け取ります。その中に礼儀知らずのサルが一匹いました。そいつは他の礼儀正しいサルと違い、手に持っていたエサを引きむしるように取ります。腹が立ったので軽く頭を叩くと、「ギャー!」と一言言い残し、いなくなりました。1分後、もの凄くデカイボス猿と現れ、やばいと思い車に走り込もうとしましたが直ぐに追いつかれ、足を噛まれ、アザになりました。」高知県の釣師 談
さるおそるべし!である。
2週間後……
負けず嫌いのA君は再び中泊に釣行します。悲壮な決意を胸に!
AM5:30渡船屋着。
船頭「今日、どの辺にあがりたい?」
A君「鹿島!!」
船頭「鹿島?なんで?沖が食いよるで!客も少ないし。」
A君「魚が食うとか、釣れるとかじゃないんですよ。さるがそこにいるかどうかどうかなんです!横島にサルはおらんろー。」
船頭「???」
ノコ、コケ周辺で釣り客を降ろした船は一気に岡に向かいます。そしてカブトに。
ここはグレを釣るには良い磯なのですがA君はいまいち浮かない顔をしています。
そう、ここは鹿島から3m程海を挟んでいるため、さるが少ないのです。しかし、さるが
海を飛び越えてくるとの話もあり、望みを繋ぎます。
今日のA君の装備はひと味違います!釣り道具の他にクーラーの中には極秘ウエポンが!まず前夜に作った特製パン。これはハウスねりからしを丸ごと一本注入しています。奥さんに「あんたはアホか!」という罵声にも負けず作った一品!友
人から借りたガスガン(あくまで護身用です)。 A君は磯上がりすると、特製パンを磯の一番高い目立つ場所にわざとらしく置き、ニヤニヤ笑っています。「西釣会のおそろしさを思い知らせてやる!」と心の中でつぶやき、仕掛けを作り始めます。
釣り開始。しかし、後ろが気になり、釣りになりません。しばらくしてもさるの姿はみえません。「今日
は、どうもさるは出てこないんじゃないかなー」と思い始めたその時!岩陰にさるの姿
が!しかも、こちらを睨みつけ、すでに怒っています。こんな人相の悪いさるは初めて見ました。A君は知らんぷ
りをして、さるが磯上の特製パンに手を付けるのをひたすら待ちますが、さるは一向にそれ以上近づいてきませ
ん!業を煮やしたA君は特製パンを手に取り、さるの近くに投げてみました!さるはそれをじっと見ています!「もうすぐじゃ!さあ食べなさーい!」そう心の中で叫んだときです!!
「ピーヒャラララー」何かの鳴き声が聞こえた瞬間、「バサバサバサ!」トンビが舞い降りてパンを脚で掴み、再び空へ舞い上がっていきました。それをカラスが3羽追いかけて行きます。
A君とさるはそれを天才バカボンの目で見送りました。
西釣会とさるとの戦いはまだまだ続きそうです!
ps:ちなみに今もA君は釣行のたびに特製パンをつくっているらしい。