西釣会の奇特な面々1
妖怪ヨメダマシ
彼は人一倍「釣り」を愛しています。だが、彼の女房は怖い。西釣会にも恐妻家は数人います。しかしその「怯え様」は本会随一である。
まず、彼は非常に男前である。そのハンサムな顔面で年上美人を妻とする事が出来ました。
「年上女房は金を払ってでもヤラしてもらえ」と昔から言われておりますが(チョットちがうような気が……?)彼はいとも簡単にそれを実現したのである。ところがー!である。女房は亭主が釣りに行くことを嫌がるのである!人一倍釣りが好きな彼にとっては非常に不幸な事であり、苦痛でもありました。釣りに行こうとするものなら
美しい妻の顔は悪鬼のごとく豹変し、口を利いてくれないのは序の口、メシも作らない、風呂も沸かさない、時には暴力!そう!まるでリンチ!そして何よりも
「離婚」という人生においての一大事が彼の直ぐ間近に迫ってくるのである。
女房公認で釣りに行けるのは約2ヶ月に1回。それ以外は全く釣りに行かしてもらえないのである。2ヶ月といえば60日。60日に1回の釣行では釣りをこよなく愛する彼にとっては非常に少ない回数であることは明白です。
以前こんな事がありました。前回の釣行から2ヶ月後、やっと釣りに行ける日がやって来ました。が、しかし、彼は風邪を引き、微熱があるようです。しかし、せっかくの釣り公認日です!彼は釣りに出かけ、見事に風邪をこじらせ、肺炎に!!
女房「あんたはあほか!コラ!」
彼「す、すいません……。ゆるして。」
女房「アホー!!ゆるすか!あんたは半年間釣り禁止じゃー!!」本当に半年禁止でした!
これらの苦痛や葛藤、焦り、虐待、悲しみが入り交じり彼を
「妖怪 ヨメダマシ」に変貌させていったのであった!
ある冬の夜(土曜日)、
ヨメダマシ「アーア!明日は休みのはずやのに出勤じゃ!」
女房「ホンマに!可哀想に〜」
ヨメダマシ「うん。どうしても明日コンクリートを打設する現場があるき出んといかん!それも朝早いんよ!何時やったかなー?」
手帳を取り出し見始めます。
「アリャー!5時には現場着になっちゅう!!」
女房「頑張ってね!体壊さないように。チュ!」
翌日朝(日曜日)
生コン会社の技術者である彼は日曜日にもかかわらず休日出勤です。
ヨメダマシ「行ってきまーす!」作業着に身を包み元気に出勤です。
会社まで約15分車を走らせます。会社に到着するとまだ他の社員は来ていません。
どうやら彼が1番乗りのようです。事務所のカギを開け中に入ります。
10分後……。な、なんと!竿ケースとバッカン、クーラーを持った彼が事務所から出てきました!
まだ真っ暗な闇の中、その顔には満面の笑みがこぼれています!
ヨメダマシ「ランラランララーン♪♪」
妖怪ヨメダマシの登場です!!
この妖怪は数日前、根性でパチンコに勝ち、女房にナイショで釣り道具一式を購入し、会社に隠し持っていたのです!!
荷物を車に詰め込み近場の池の浦(高知市より車で約40分)を目指します。
駐車場に着くと、職場の後輩である人間棒ウキ君(爆笑軍団その4参照)がすでに到着しています。
人間棒ウキ「おはようございまーす!」
ヨメダマシ「おう!おっはよー!ランラランララーン♪♪」この妖怪は非常に機嫌が良いのが特徴です。
人間棒ウキ「大丈夫ですかー?もしバレたらどうなるんですか?」
ヨメダマシ「うん……。まず殴られて、それから確実に離婚されるでしょう!」
車から荷物を降ろし準備を進めます。人間棒ウキ君がふとヨメダマシの方を見ると、何やらゴソゴソとやっています。
人間棒ウキ「な、何をしてるんですか!」
近づいてみると、彼の顔は真っ白になっています。
日焼け止めクリームを約1本丸ごと使い、顔に「これでもか!」と言うぐらい塗りたくっているではありませんか!
ヨメダマシ「あほ。サングラスするやろ、目の周り以外が日焼けしたら一撃でバレるやろー!」
彼は荷物を船に積み込み、真っ白い顔で他の釣り客をビビらせながら釣りに出かけて行きました。
午後3時迎えの船に乗り込み彼らは港に帰ってきました。そこそこの釣果のようです。
ヨメダマシ「魚いる?」
人間棒ウキ「いらないんですか?」
ヨメダマシ「あほー!魚持って帰ったら一撃でバレるろーが!」
刺身が大好物の彼は渋々釣果を渡します。
ヨメダマシ「そんな事より、オイ!俺日焼けしてないか?」
出船前日焼け止めクリームを顔が真っ白くなるぐらい塗り込んでいた彼。
人間棒ウキ「まだ真っ白です。」
ヨメダマシ「ホントか!よく見ろ!!」
人間棒ウキ「大丈夫です!」
ヨメダマシ「目の周りとかだけ白くないか?よく見てくれ!頼む!」
人間棒ウキ「もうー!大丈夫ですってー!」
ヨメダマシは釣行前の機嫌の良さは消え去り、すっかり怯えています。
ヨメダマシ「いかん!信用できん!チョットトイレに行って鏡で見てくる。」
5分後……。
ヨメダマシ「なんか、心なしか目の周りだけ白い様な気がする……。」
人間棒ウキ「絶対分かりませんてー!もう、早く帰りましょう!」
ヨメダマシ「そうやろかー……。」
車を走らせて5分後……
ヨメダマシ「オイ!俺、魚臭くないか?」
人間棒ウキ「僕も釣りしてたんで分かりません。」
ヨメダマシ「マジ?!やばい!どうしょう〜」
人間棒ウキ「風呂入って帰ったらどうですか?」
ヨメダマシ「アホー!石鹸の臭いの方がヤバイじゃんか!!」
人間棒ウキ「絶対大丈夫ですって!もう〜……。」
こうして、妖怪ヨメダマシはやっと帰路に着きました。
但し、顔が真っ白いまま……。あほやで。
みなさん、もし池の浦、須崎等、高知市から近場の釣り場で作業服、真っ白い顔、帰りの港でビクビクしている男がいたら、それは「妖怪 ヨメダマシ」です。一言
「がんばれよ。まけるなよ。魚は釣っても首は吊るなよ。」と声をかけてあげて下さい。
どうかよろしくお願い申し上げます。