破壊人(クラッシャー伝説)

1話 中泊春 コデ西

 その忌まわしい出来事は、ポカポカ陽気の春、中泊コデ西で起こりました。

 A君とC君は夕釣りでコデ西に渡礁。グレ、イサギなどをポツポツ釣り、そこそこ釣果に満足し、後はデカイ尾長でも釣れたら文句ナシ!というような状況でした。

 日もだいぶ傾き、なかなかいい感じになって来た時です。C君は釣り座足元から出るサラシを攻めていました。仕掛けがサラシにのり沖の本流へスーっと引かれて行きます。するとウキがヒュルヒュル〜と海に入っていきます。C君のカッコイイあわせが決まり竿は満月です!魚は比較的ゆっくりと足元に突っ込んできます!C君の竿はそれにあわせてさらに曲がります!新品の中通し竿が唸ります!その時です。悲劇が起こったのは。「バン!!」という衝撃音が磯の上に響き渡りました!A君がC君の方を見るとリールの付いた80cmの竿を持ったC君が固まったまま海の方を見ています。竿の上部は磯の上にころがり、ウキも仕掛けも吹き飛んでいました。C君はゆっくりA君の方を振り返りました。

A君談 あの時の彼の顔は、目がうつろで口の端からよだれが出ていました。とても普通の方とは思

えませんでした。怖かったですし、なによりおかしかったです。

 

2話 中泊冬 源氏の横の横

 春にコデ西で竿を折ったC君は「あんなぽきぽき折れる竿はだめだねー!」とダイワマスタードラ

イを購入していました。よく見るとリールも新品のトーナメントZです。気合も十分、A君とC君は

磯上がりしましたが、その日はアタリも少なく退屈な釣りでした。お昼をまわった頃です。二人の仕

掛けを切っていくアタリが出始めました。「青物が回ってるぞー!」二人とも気合が入りま

す。その時です。またまたC君のカッコイイあわせが決まりました。魚は一気に沖に出て行こうとし

ています。「そうはさせるかー!」C君はカッコよく言い放ち竿を立てます

その時です。悲劇が起こったのは。「ベシ!!」

A君がC君の方を見ると竿はちゃんと5.3mあります。彼はなにやらわめきながら手元でごそごそやっ

います。よく見ると新品トーナメントZのベールがありません。右手で竿を立て、左手で糸の出を

抑えるのが精一です。しょうがないのでA君は彼の道糸を手に持ちたぐり始めました。

「たぐった道糸をスプールに巻け!!」と言いながら

A君はどんどん糸をたぐっていきます。しかしC君がスプールに巻く速度が異常に遅いため、糸はど

んどんC君に巻き付いていきます。

巻けん!巻けん!ボクに巻きつきゆうー!!」

悲鳴にも似たC君の声。「大丈夫じゃー!このヒラマサはとれるかもしれん!!」A君はどんどん糸

をたぐり続けます。

そしてC君がグルグル巻きの道糸でミイラ男になった頃ついにヒラマサはバレテしまいました。

 A君「おまえがさっさと巻かんきじゃー!!」

 C君「ぼくに巻き付いて巻けんなったも!!」

 A君「あほー!そしたらおまえがリールみたいにクルクル回ったらえーやないか!!頭をつかえ!!」

 

3話 中泊冬 源氏の横の方

 この頃には彼は「クラッシャー」とみんなから呼ばれるようになっていました。

 出船前、釣りに来れなかった先輩から「今日は何を壊すのですか?船は壊しちゃだめ

よ!帰れなくなるよ〜」とからかいメールが入ります。

 納竿後、船を待っているといつもの時間に船が来ません。すると違

う渡船屋さんが来て、

「乗ってください。あなた方の乗ってきた船は壊れました。」

とマイクで言っています。おそるべしクラッシャー!きっと彼のせいでしょう。